【走った証拠を見てみよう】スプロケットの摩耗チェック
多分、自転車の中で一番の汚れ仕事をしているであろう、チェーン周り。
チェーンやクランク、スプロケット、ディライラーなどチェーン周りのことを総称して「ドライブトレイン」と呼んだります。

今回はそんなドライブトレインの中の一つ、スプロケットにフォーカスを当てていきます。

チェーンオイルと地面やタイヤが巻き上げた汚れを被りながら、人間の足から加えられた力をチェーンから受け、ハブ、スポーク、ニップル、リム、タイヤへと伝える大事な部品。もちろん使えば使っていくほど消耗していきます。
スプロケットのどこが消耗する?
具体的に消耗する部分はチェーンとの接触面。すなわち主にギア山の「左側」になります。
なぜ左側なのかは、チェーンにかかる力の向きを考えてみるとよくわかります。
チェーンは自転車の進行方向に向かって回転します。スプロケットからフロントチェーンリングまでの間は、足から伝わる力と地面との抵抗によってペダリング中、常にチェーンは張った状態となります。

もっと寄りで見てみるとチェーンは常に右へ右へと力がかかり、スプロケットは常に右側へ引っ張られる形になります。この時、チェーンとスプロケットが接触しているのは山の左側になるのが分かります。

実際に消耗したスプロケットをみてみるとそのように削れているのが見て取れます。

また、チェーンとの接触面を見てみると研磨されたように表面がツルッと削れているところも確認できますね。ちなみにこれと同じように考えてチェーンリングを見てみると、今度は逆で山の右側が削れているのが理解できると思います。実際に見てみてくださいね。

「バリ」を確認しよう。
「歯とび」と呼ばれるペダルを踏み込んだ時にチェーンがスプロケットから滑り、一瞬力が抜ける現象が起これば減ったと分かりやすいですのですが、とはいえそうでない時はチェーンとの接触面だけ見てもどれだけ減っているかはちょっと分かりづらい。個人的にも「交換時期が分かりづらいパーツ」上位3位内には確実に入っていると思うくらい、分かりづらい。
よく「10,000km走ったら交換」や「チェーンを3回変えたら交換」など言われたりもしますが、中々距離を測っていたり、何回チェーンを変えたか覚えていなかったりします。
そんな時は摩耗した歯の左側の角を見てみましょう。

「バリ」が出ているのが分かりますでしょうか?チェーンに押しつぶされた歯が外側に膨らんでできたバリ。これがあると削れている証拠です。
あくまでこれは確認の方法の1つですが、個人的経験からも歯とびや音なりがする自転車はこのバリ大きくできていることがとても多いです。ちなみに写真のバリは結構大きい方。(しかし、このスプロケットの場合シングル用ということと、チェーン自体も伸びてきているのでまだ使えているという何ともややこしい状態。)
そして、この摩耗とバリができやすい状況が主に3つあります。
・チェーンのオイル不足
・チェーンが伸びた状態で乗り続ける
・汚れが溜まっている
どれもチェーン由来のものですね。ということはチェーンを綺麗に保つことでスプロケットの摩耗は遅らせる事ができるのです。

洗浄と注油、定期的なチェックが大切です。
洗顔と毎日の保湿によって肌の状態を整えることや週末の掃除で部屋を綺麗に保つことと同じように自転車も定期的に綺麗にしたり、チェックすることで良い状態を長く続ける事ができます。
この記事を読み終えたら、ぜひご自身のバイクのスプロケットを見てみてください。減ってなかったり、少しバリが出て不安を感じる方もいらっしゃるかもしれません。しかしすぐに壊れるということはありませんのでご安心ください。
実際に交換となるのはタイミングだったり、オーナーの気分だったり、明確な症状がでてからなどがほとんどだったりします。スプロケットはそれ単体で機能しているわけでなく、チェーンというお供がいるわけで、一つの視点から決めることができず複合的に見なければいけないのでなかなか交換時期を見極めるのが難しいのです。
だからこそ、現状を「把握している」ということがモノを長く使う上で結構大事だったりします。突然歯飛びが起きても「あれだけ減ってたから、そろそろ交換か〜」と焦ることもなくなりますし、「まだ大丈夫」ということがわかるだけでライドをもっと楽しむことだってできますよね。把握した上でガンガン使い倒していってください💪
それでももし心配だったり、分からなかったら僕たちのところまでご相談ください。

気になる洗浄方法などはまた記事にしようと思います。
次回はチェーンの摩耗についてを書こうと思いますのでそちらもお楽しみに!