【NITTO工場見学】10年使えるモノを100年作り続けて
僕たちは修理ができるシンプルな構造を持ち、メンテナンスを繰り返せば長く使え、日常から遊びの道具として幅広い顔を持つ自転車が好きです。
そしてその道具の一部であるハンドルやステム、シートポストなどを永く使えるようモノづくりを行うNITTOの製品が大好きです。

国内で唯一、自転車用のハンドルやステム、ラックなどを切断から溶接、表面処理まで一貫して製造しているメーカー「NITTO」。今年で創業100周年を迎えました。
趣味としてのバイクにはもちろん、競輪でも使用され品質の高さは折り紙付き。国内に限らず海を越えた先でも使用される日本が誇るメーカーです。

そんなNITTOの製品は福島県は二本松市、雪化粧を纏った安達太良山の雄大な景色が見える街で作り出されています。
ありがたいことにその工場を見学させていただけたので、そこで見て感じたことをみなさんにも知ってもらい、ぜひNITTOの製品に触れてみてほしいと思いこの記事を書きました。ぜひ読んでいただけると嬉しいです。
キーワードは「安全性」
NITTOの製品はなぜこんなにも惹かれるのか。そして国内に限らず世界中で使われているのか。
それはひとえに「安全性」であると、実際に製造されている過程や品質管理、それを作る方々と接して感じることができました。
実際に工場内に入ると目に入ってくるのは整然と並ぶ資材や機械、NITTOの見慣れたブルーを纏った社員の方々がそれぞれの製品を製造しています。


こちらはハンドルバーとステムをクランプする部分の加工作業。


バルジ加工と言ってハンドルに短いパイプを差し込み、エラストマーのような棒を中で膨らませ、部材同士を接着する加工方法です。
他のメーカーではあまり見ないですよね。これはプレスされた装飾部分はクラックの原因になることもあるため、こうすることで強度を持たせつつ装飾を施すことができるそうです。
また、外側のパイプの幅を変化させることでハンドルバーの横幅に合わせた強度を持たせることもできます。

続いては溶接ゾーン。
ぱっと見他のメーカーと作りの違いが分からないラックですが、実はちょっとした特徴がNITTOのラックにはあります。それはガス抜きの穴。

通常、溶接した際に発生するガスを抜くための穴がパイプに設けられますが、NITTOのラックにはその穴がありません。
このガス抜きの穴がないと内部でガスが溜まり溶接箇所が爆ぜてしまうそうですが、爆ぜさせず内部までしっかりとロウを流し込む作業はまさに職人技。
こうすることでパイプ内部に水分などの侵入を防ぎ、結果サビに強く頑丈で永く使えるものになるとのことです。


そして自動で管理された表面処理のライン。

メッキ工場から始まったNITTOの表面処理は言わずもがな。建物の外で暴露試験(屋外で耐候性や塗装の剥離を調べる試験)されていたハンドルには平成16年(19年前…!!!)のシールが貼られていましたがメッキの光沢は失われていませんでした。


そして何より印象に残ったのは僕たちを案内していただいた社長の吉川さんが「10年使えるものを目指して」と度々口にされていたことです。
耐久試験や品質管理を何度も行い、壊れたら改善しより良いものを作る。そこには具体的な数値による性能の表記などはなく、1世紀分のノウハウと、永く使えるものを作ろうする意志が機能美として形作られており、そこに僕らは惹かれているのでしょう。


自転車は永く使える道具です。

NITTOが10年使えるものを目指しているように、僕たちも自転車を永く使うためにパーツを選び、定期的なメンテナンスや、壊れてしまった場合は修理を行なっております。
その中でも「自分の自転車を自分で触れるようになること」がモノを永く使い続けるために何よりも重要なことだと考えています。モノの仕組みを理解できると不調が出る前にメンテナンスができたり、少しでも違和感を感じたら壊れる前にリカバリーできたりします。
正しい自転車メンテナンスの知識は一生使える財産
いざ自分で触ってみようとすると工具が必要だったり、本当にこれで良いのか?と不安になることもあると思います。ネットや雑誌などでメンテナンスに必要な情報は探せば出てきますが、本当それが正しいか最後にチェックするのは自分ですからね。
そんな不安や悩みをお持ちでしたらぜひカルチャークラブへお越しください!
初めて自転車を触る方はプライベートレッスンでイチから自転車を組み立てたり、輪行やオーバーホールといった自転車に関することなら幅広くレクチャーいたします。
チューブ交換といった基本的なことはもちろん、中にはブレーキやハブの調整、ヘッドのガタ調整など命に関わるパーツの作業もあります。自分の命を預ける車体を触るので不安もあると思いますがしっかりサポートさせていただきますし、構造を理解して実際に触ってみるとより自転車との距離が縮まって愛着が湧いてきますよ!
ある程度慣れてきたらレンタルピットでぜひ一人でチャレンジしてみてくださいね。

自分の自転車を理解していくとモノに対して愛着も湧きますし、今感じているコトがもっと広く明るくなり、自転車を通じてより多くのコトを得られるようになっていきますよ!